マイケル・オーウェンの凄さは、その驚異的なスピードと卓越した得点力にある。173cmという身長ながら、相手ディフェンスラインの裏を突くプレースタイルで世界のトップストライカーとして活躍した。リバプールで頭角を現し、18歳でプレミアリーグ得点王に輝くと、その後もイングランド代表のエースとして数々の名シーンを生み出した。特に1998年ワールドカップでのアルゼンチン戦のゴールは、今なお語り継がれている。
2001年にはリバプールを三冠に導き、バロンドールを受賞。イングランド人としては数少ない快挙を達成した。レアル・マドリードへ移籍し「銀河系軍団」の一員となるも、1年でプレミアリーグに復帰。マンチェスター・ユナイテッドでは意外な背番号「7」を背負い、マンチェスター・ダービーでの決勝ゴールなど印象的な活躍を見せた。
オーウェンの全盛期はいつだったのか？足の速さはどれほどだったのか？その疑問に加え、映画出演や引退後の現在の活動についても詳しく解説する。サッカー界に多大な影響を与えた彼の軌跡を振り返り、マイケル・オーウェンの凄さを改めて紐解いていこう。
マイケル・オーウェンの凄さとは？驚異のスピードと実績
- プレースタイルと身長から見る特徴
- リバプールでの活躍と得点王の実績
- レアル・マドリード移籍と銀河系軍団での挑戦
- マンチェスター・ユナイテッドでの意外な背番号
- イングランド代表で輝いた瞬間と記録
プレースタイルと身長から見る特徴
マイケル・オーウェンは、スピードを武器にしたストライカーとして知られる。身長は173cmとサッカー選手としては決して大柄ではないが、その俊敏な動きと鋭い加速力でディフェンダーを置き去りにするプレースタイルが特徴的だ。
特に、相手ディフェンスラインの裏に抜け出す「ラインブレーカー」としての動きが優れており、一瞬のスピードアップでゴール前に飛び出す能力に長けていた。加えて、両足を巧みに使い分けるシュート技術を持ち、決定機での冷静さも際立っていた。
一方で、身長が低いため空中戦には強くなく、フィジカルコンタクトの多いプレミアリーグでは体の強いディフェンダーに苦戦する場面もあった。ただし、その分、ポジショニングのセンスと素早い動きで相手の守備網を突破し、得点を重ねるスタイルを確立していた。
また、オーウェンは単なるスピードスターではなく、シュートまでの動作が極めて速い点も見逃せない。特に、ワンタッチでシュートまで持ち込む技術は卓越しており、ゴール前で迷いなくボールをゴールに流し込むプレーが目立った。
こうした特徴を活かし、彼は若くして世界屈指のストライカーとしての地位を築いた。
リバプールでの活躍と得点王の実績
オーウェンは、リバプールの下部組織で育ち、1997年にトップチームデビューを果たした。そのデビュー戦で早速ゴールを決め、将来のスターとしての片鱗を見せた。
1997-98シーズン、18歳ながらプレミアリーグで18ゴールを記録し、得点王に輝く。これはプレミアリーグ史上最年少での快挙であり、「ワンダーボーイ」と称されるきっかけとなった。翌1998-99シーズンも18ゴールを挙げ、2年連続で得点王となる。
リバプール在籍中、彼は7シーズンにわたってチームの年間最多得点者となり、通算216試合で118ゴールを記録。2000-01シーズンには、FAカップ、リーグカップ、UEFAカップの三冠を達成し、クラブの躍進に大きく貢献した。特にFAカップ決勝のアーセナル戦では、試合終盤に2ゴールを決め、劇的な逆転勝利を演出。これが後に「マイケル・オーウェンの決勝戦」として語り継がれることになる。
オーウェンのプレースタイルは、リバプールにとって不可欠な武器だった。彼のスピードと決定力は、相手ディフェンスを常に脅かし、試合を決定づける存在だった。一方で、怪我が多く、コンディションを維持することが課題となる場面もあった。
それでも、オーウェンはリバプールのエースとして君臨し続け、最終的には2001年にバロンドールを受賞するという快挙を達成。リバプールの選手として初めての受賞者となり、その名を歴史に刻んだ。
レアル・マドリード移籍と銀河系軍団での挑戦
2004年、オーウェンは長年プレーしたリバプールを離れ、スペインのレアル・マドリードへ移籍する。当時のレアル・マドリードは、世界のスター選手を集めた「銀河系軍団」として知られ、デビッド・ベッカム、ジネディーヌ・ジダン、ロナウド、ラウール・ゴンサレスなど、そうそうたるメンバーが在籍していた。
オーウェンは背番号11を与えられたが、序盤はベンチスタートが多く、スタメンに定着するのに苦労した。しかし、限られた出場機会の中で結果を残し、徐々に評価を高める。チャンピオンズリーグのディナモ・キーウ戦で初ゴールを記録し、その後もコンスタントに得点を重ねた。
シーズンを通してリーグ戦36試合に出場し、13ゴールを記録。特筆すべきは、プレー時間あたりの得点率がチーム内で最も高かったことだ。効率的にゴールを決める能力は健在だったが、ロナウドやラウールといった既存のエースがいる中で、常にスタメンの座を確保するのは難しかった。
さらに、当時のレアル・マドリードはチームのバランスが悪く、リーグ戦でもタイトルを逃してしまう。オーウェン自身は一定の成果を上げたものの、クラブの戦術や環境に完全にフィットすることはできなかった。
そして、2005年夏にはロビーニョやジュリオ・バチスタといった新戦力が加わり、オーウェンの立場はさらに厳しくなる。結局、わずか1年でプレミアリーグに戻ることになり、ニューカッスル・ユナイテッドへ移籍することを決断した。
レアル・マドリードでの挑戦は、決して失敗とは言えないものの、彼のキャリアにおいて必ずしもプラスとはならなかった。プレースタイルに合った環境でなければ、本来のパフォーマンスを発揮しにくいことが浮き彫りになったシーズンでもあった。
マンチェスター・ユナイテッドでの意外な背番号
2009年、オーウェンはニューカッスル・ユナイテッドを退団し、マンチェスター・ユナイテッドへ移籍した。この移籍自体が大きな話題となったが、それ以上に注目を集めたのは彼が与えられた背番号だった。
オーウェンがユナイテッドで背負ったのは「7番」。この番号はクラブの歴史において特別な意味を持ち、ジョージ・ベスト、エリック・カントナ、デビッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドといった伝説的な選手たちが身に着けてきた。オーウェンがこの番号を継承することは、多くのファンにとって意外な選択だった。
この決定にはアレックス・ファーガソン監督の意向が強く反映されていた。オーウェンはかつて世界最高のストライカーの一人と称され、バロンドールも受賞している。しかし、ニューカッスル時代は怪我に悩まされ、全盛期の輝きを失いつつあった。それでもファーガソンは彼の経験と勝負強さに期待し、7番を託したと考えられる。
ユナイテッドでは主にスーパーサブとしての役割を担い、リーグ戦19試合で3ゴールを記録。特に2009年9月に行われたマンチェスター・ダービーでは、試合終了間際に劇的な決勝ゴールを決め、ファンの記憶に残る活躍を見せた。また、同シーズンのリーグカップ決勝では先制点を挙げ、タイトル獲得に貢献している。
一方で、7番を背負ったオーウェンは期待されたようなインパクトを残すことはできなかった。度重なる怪我により出場機会が限られ、ユナイテッド在籍3年間でリーグ戦の先発出場はわずか6試合にとどまった。最終的に2012年に退団し、ストーク・シティで1シーズンを過ごした後、現役を引退した。
マンチェスター・ユナイテッドの7番といえば、攻撃の中心を担うエースの象徴とされる。しかし、オーウェンは主力ではなく、あくまで控えのストライカーとしての役割が中心だった。そのため、7番をつけた選手としては異例のキャリアとなった。
イングランド代表で輝いた瞬間と記録
オーウェンはイングランド代表としても輝かしい実績を残した。特に1998年のフランス・ワールドカップで見せたパフォーマンスは、世界中にその名を知らしめるものだった。
18歳で迎えたワールドカップでは、グループリーグのルーマニア戦で代表初ゴールを記録。そして決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦では、圧巻のソロゴールを決める。センターライン付近からドリブルを開始し、相手ディフェンダー2人を抜き去ってゴールネットを揺らした。この得点はワールドカップ史に残る名シーンの一つとされ、オーウェンは「ワンダーボーイ」と称されるようになった。
その後もイングランド代表のエースとして活躍し、2002年の日韓ワールドカップでは、決勝トーナメント1回戦のデンマーク戦で先制ゴールを決め、チームを勝利に導いた。また、準々決勝のブラジル戦でも先制点を挙げたが、試合は1-2で敗れた。
さらに、2001年のドイツ戦ではハットトリックを達成し、5-1の歴史的勝利に貢献。この試合はイングランド代表にとっても特別な一戦であり、オーウェンの名を代表史に刻むものとなった。
代表通算89試合に出場し、40ゴールを記録。この得点数は、ハリー・ケインやウェイン・ルーニー、ボビー・チャールトンらに次ぐイングランド歴代6位の記録となっている。また、ワールドカップとEUROの4大会連続でゴールを決めた唯一のイングランド選手であり、大舞台での勝負強さを証明した。
一方で、2006年のドイツ・ワールドカップでは、大会中に前十字靭帯を断裂する大怪我を負い、以降の代表キャリアは下降線をたどる。2008年以降はファビオ・カペッロ監督の下で代表招集が途絶え、2010年の南アフリカ・ワールドカップには選ばれなかった。
それでも、オーウェンがイングランド代表に残した功績は色褪せることはない。若くして世界の舞台で躍動し、代表の歴史に名を刻んだストライカーとして、今でも語り継がれている。
マイケル・オーウェンの凄さを証明する栄光と現在
- バロンドール受賞の歴史的快挙
- 全盛期はいつ？驚異の足の速さとは
- 映画出演？引退後も多方面で活躍するオーウェン
バロンドール受賞の歴史的快挙
2001年、マイケル・オーウェンはイングランド人として史上4人目のバロンドール（欧州年間最優秀選手賞）を受賞した。この受賞は、彼の個人能力の高さだけでなく、リバプールでの活躍が世界的に評価された証でもある。
2000-01シーズン、オーウェンはリバプールの主要タイトル獲得に大きく貢献した。リーグ戦での活躍に加え、FAカップ、リーグカップ、UEFAカップの三冠を達成。特にFAカップ決勝のアーセナル戦では、終盤に2ゴールを決めて逆転勝利を演出した。この試合は「マイケル・オーウェンの決勝戦」とも呼ばれ、彼の勝負強さが際立つ瞬間だった。
バロンドールの受賞者選考では、ラウール・ゴンサレス（レアル・マドリード）やオリバー・カーン（バイエルン・ミュンヘン）といったスター選手を抑えての受賞となった。当時のリバプールはプレミアリーグ優勝やチャンピオンズリーグ制覇には届かなかったが、国内外での活躍が評価され、オーウェンの受賞につながった。
このバロンドール受賞は、オーウェンがいかに突出した才能を持っていたかを示すものだった。イングランドのクラブに所属する選手としては初めての受賞であり、リバプールの歴史においても唯一の受賞者となっている。その後、イングランド人選手でバロンドールを獲得した者はいないため、彼の功績は今なお特別なものとして語り継がれている。
全盛期はいつ？驚異の足の速さとは
オーウェンの全盛期は、リバプール在籍時の1997年から2001年までの期間とされる。特に1997-98シーズンから2000-01シーズンにかけては、驚異的なスピードと決定力を武器に、世界屈指のストライカーとして君臨していた。
彼の最大の武器は、ディフェンスラインの裏へ抜け出す圧倒的なスピードだった。瞬発力に優れ、相手の背後を突く動きが非常に巧みだった。特に1998年のワールドカップ・アルゼンチン戦で見せたゴールは、彼のスピードを象徴するプレーの一つとされている。センターライン付近から一気に加速し、ディフェンダーを置き去りにして得点を決めたシーンは、今なお語り継がれている。
スピードの数値的な記録は明確には残っていないが、一部の試合ではトップスピードが時速35kmに達したとされる。これは、現在のサッカー界で「スピードスター」とされる選手たちにも匹敵する数値だ。
一方で、オーウェンはハムストリングの負傷に悩まされることが多く、2000年代半ばにはスピードが落ち始めた。特に2006年のワールドカップで膝の重傷を負った後は、かつてのような爆発的な加速力を発揮することが難しくなった。
しかし、全盛期のオーウェンのスピードは、相手ディフェンダーにとって脅威そのものであり、「一瞬でゴール前に現れる選手」として、世界中の守備陣に恐れられた存在だった。
映画出演？引退後も多方面で活躍するオーウェン
マイケル・オーウェンは2013年に現役を引退したが、その後もさまざまな分野で精力的に活動を続けている。主にサッカー解説者、競馬オーナー、ビジネスパーソンとしての顔を持ち、さらには映画にも出演するなど、多才な一面を見せている。
まず、引退後の活動の中でも最も目立つのがサッカー解説者としての仕事だ。イギリスのスポーツ専門チャンネル「BT Sport」や「BBC」で解説を務め、プレミアリーグやチャンピオンズリーグの試合分析を行っている。試合の戦術や選手のパフォーマンスについて的確なコメントを発信し、現役時代の経験を生かした鋭い視点が評価されている。また、SNSを通じてもサッカー界の話題に積極的に言及し、ファンとの交流を図っている。
一方で、オーウェンのもう一つの大きな関心事は競馬だ。現役時代から競馬好きとして知られ、引退後は本格的に馬主としての活動を開始。自身の競走馬育成施設「マナー・ハウス・ステーブルズ」を経営し、多くの競走馬を所有している。その中でも「ブラウンパンサー」はG1レースを制覇し、競馬界でも名の知れた存在となった。競馬イベントにも頻繁に登場し、自身のSNSやインタビューでは競馬に関する話題を積極的に発信している。
また、オーウェンはビジネスの分野にも進出し、多くのブランドの広告塔を務めている。スポーツ用品や時計メーカー、自動車ブランドなどと契約を結び、企業のマーケティング活動にも関与。特に、リバプール時代の知名度を活かしたグローバルな展開が目立つ。さらに、自身のキャリアを振り返った自伝の執筆にも取り組んでおり、プロ選手としての成功の秘訣や、怪我との戦いについて語っている。
さらに、オーウェンは映画にも登場している。2007年に公開された映画『GOAL!2』では、本人役としてカメオ出演し、サッカーファンの間で話題になった。この映画は、架空のサッカー選手がレアル・マドリードへ移籍し、トップクラブでの成功を目指すストーリーで、当時実際にレアル・マドリードに所属していたオーウェンの出演は、映画のリアリティを高める要素となった。
このように、オーウェンは単なる元サッカー選手にとどまらず、解説者、競馬オーナー、ビジネスパーソン、さらには映画出演と、多方面で活躍している。サッカー界を離れてもなお影響力を持ち続け、その新たな挑戦は多くの人々にインスピレーションを与えている。
マイケル・オーウェンの凄さを象徴する実績と特徴
この記事のポイントをまとめよう。
- 圧倒的なスピードで相手ディフェンダーを置き去りにするプレースタイル
- 身長173cmながらも優れたポジショニングで得点を量産
- 18歳でプレミアリーグ得点王に輝き、2年連続で達成
- リバプールで通算118ゴールを記録し、エースとして活躍
- 2001年にバロンドールを受賞し、イングランド人として史上4人目の快挙
- レアル・マドリードの銀河系軍団に加入し、リーグ戦13ゴールを記録
- マンチェスター・ユナイテッドでは伝統の7番を背負い、劇的なダービー決勝弾を決める
- 1998年ワールドカップでアルゼンチン戦のソロゴールを決め、世界に衝撃を与える
- イングランド代表通算40ゴールを記録し、歴代6位の成績を残す
- ワールドカップとEUROの4大会連続ゴールを達成した唯一のイングランド選手
- 怪我に苦しみながらもトップレベルで戦い続けた不屈のストライカー
- シュート動作の速さに優れ、ワンタッチでゴールを決める技術が際立つ
- 引退後はサッカー解説者として活躍し、的確な分析で評価を得る
- 競馬オーナーとして成功し、所有馬「ブラウンパンサー」がG1制覇
- 映画『GOAL!2』に本人役で出演し、多方面で存在感を示す